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社会人百合(レズビアン)小説、発売開始&試し読み!

2019年4月26日に発売開始しました。Kindle新刊『フリマアプリの取引相手が高校のときの初恋の人(同性)だった件。』、通称「フリ恋」。

 

今回は、社会人百合、レズビアンロマンスといった、これまでと比べると、おとな~な感じの本に仕上がりました!

アダルトカテゴリーとなりますので、18歳以上になったら、読んでみてください♪

 

百合にエロスはいらないよという方は、未読を推奨いたします。
逆に、嫌いではないという方は、ぜひとも!

 

フリマアプリの取引相手が高校のときの初恋の人(同性)だった件。

https://amzn.to/2KA2Qwk

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試し読み、どうぞ~。

 

KDPセレクトの規約にのっとって、販売作品『フリマアプリの取引相手が高校のときの初恋の人(同性)だった件。』の10%までを、ブログ上に試し読みとして掲載します。
( )内のひらがなは、Kindle本ではルビとして表示。

 
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『フリマアプリの取引相手が高校のときの初恋の人(同性)だった件。』(著)水沢みと

 

 
フリマアプリの取引相手が高校のときの初恋の人(同性)だった件。

 

 山田透子(やまだとうこ)が一人暮らしをしているアパートに、会社から帰宅したのは、水曜日の十九時を過ぎた頃だった。
 同僚は今頃、居酒屋でどんちゃん騒ぎをしていることだろう。
 玄関に入り、明かりをつけると、ふーっと大きく息を吐いた。
 透子の部屋の内装は、良く言えば、すっきりと物が少なく片付けられ、きれいに掃除が行き届いている。悪く言えば、味も素(そ)っ気(け)もない、無機質な場所だった。彼女にとって、この古びたアパートに帰宅する理由は、ここ以外に自分がいていい場所はないという思いからであり、特段の愛着がある訳でもなかった。
 ふと、ドアの内側の郵便受けに、物が入っているのに気付いた。
 取り出してみると、厚さ二センチ程の封筒で、ちょうどCDが入るぐらいのサイズだ。それでピンときた。
「フリマのか。けっこう、早かったな」
 最近気になっているアーティストの中古CDを、先日フリマアプリで購入した。
 書かれた宛名の文字は、丁寧だ。発送も早かった。
 良い出品者で良かった、と透子は思った。
 封筒を裏返して見て、驚愕した。
 そこに書かれていた、差出人の名前には心覚えがある。
「これ……あの人の名前……!?」
 息をするのも忘れ、文字を食い入るように見つめる。
 住所と共に美しく書かれたその名前は、「日羽(ひわ)かすみ」。
 高校のときの同級生の名前だった。
 十年前に出会い、そして、突然去っていった人。
「こんな偶然が、あるの?」
 興奮が抑えられない。
 日羽かすみは、透子にとって忘れがたい存在として、十年経っても色あせない人物だった。
 ――なんでこんな、どきどきしてるんだろ、私。
 動揺で震えそうな手を制御し、郵便物の封をハサミで開けていく。
 中身は推測した通り、フリマアプリで購入したCDだった。プチプチで丁寧に巻かれている。プチプチをはぐと、CDのケースにも盤面にも傷一つなく、問題なさそうだ。
 そして、メッセージカードが添えられていた。
 そこには、「ご購入ありがとうございました!」という定型文と共に、「高校で一年A組のクラスメイトだった山田さんだよね? もし良かったら、連絡ください♪」という文章が書かれ、続いて携帯番号が記されている。
 透子は、信じられない気持ちで一杯になり、戸惑いを禁じえなかった。
「やっぱりこの人は、あの日羽かすみちゃんなんだ……」
 十六歳のときに出会った、優しくて美人の日羽かすみのことを思い出す。
 ガリ勉で根暗だった透子が、クラスに多少なりとも溶け込めたのは、かすみのおかげだった。
 クラスの中心人物として、華やかなオーラをまとった、人気者のかすみ。男子も女子も、彼女のことを悪く言う人はいなかった。
 ――そして私にとっても、かすみちゃんは、特別な人だった。
 この十年の苦節の日々の中で、彼女との出会いは、透子にとって、夢のように幸せな出来事だった。
「だけど……だからって、今頃……」
 もう自分は、すべてが青臭かった高校生ではない。
 世界のリアル、痛み、辛さ……そんな現実を知ったあとだ。
 恋だの愛だの友情だの、そうしたものに、依存して生きる訳にはいかなかった。
 一言で言えば、山田透子は、世界に希望を見いだせないでいた。
「高校時代には、もう戻れないよ……」
 メッセージカードのことは、ひとまず保留にすることにした。
 混乱した頭で、それでもCDの再生確認をして、フリマアプリの評価は付けなければ、と思い立った。
 CDプレーヤーにセットし、ヘッドホンをかける。
 そして一時間弱の曲を聴きながら、昔のことに思いをはせた。
 高校一年のとき。
 両親のやや神経質な教育の影響もあって、勉強一筋にそれまでの人生を過ごしてきた透子が、こんな人もいるんだ、と不思議な感覚を覚えたのが、クラスメイトの日羽かすみという人物だった。透子は、ぼさっとして身だしなみに無頓着、髪型にも気を使わず、くしを通すのもそこそこのショートで、全然オシャレでもなんでもない眼鏡をかけていた。対してかすみは、さらさらロングでストレートの黒髪も美しく、きらきらとした目力の、整ったお人形のような顔立ちだった。明るい美人で人気者。モテるけれど、気取ったところもない。何より、ガリ勉優等生で、中学同様、孤立しそうだった透子にも親切に声をかけてくれて、おかげで透子も、クラスメイトとぽつぽつと話すぐらいのことはできた。
 かすみがいるだけで、進学校のクラスの中も、華やかで、穏やかな空気に包まれた。受験という目標にぎすぎすした心が、彼女の存在で癒やされるように透子には思えた。
 みんな彼女のことが好きで。
 透子も、かすみのことが好きだった。
 それが、人のことが苦手気味だった自分を、クラスになじませてくれたことへの感謝からだったのか。
 それとも、それがいわゆる、「初恋」というものだったのか。
 答えは、すぐに出た。
 だけどずっと、その心にはふたをしていた。
 高校生のときもそうだったし、経験を積んだ今なら、なおさらだ。
「人間は、信じるには値(あたい)しない」
 頭に入ってこない曲を流しながら、一人つぶやく。
 曲の再生は問題なかった。
 思考を停止させて、フリマアプリを立ち上げ、定型文で「ありがとうございました」とコメントを書いて、「良い」で評価した。
 あとは向こうが、こちらに評価を返せば、この取引は終了だ。
 すると、三分もしないうちに、出品者からの評価も付けられた。
 定型文で、「ありがとうございました。また機会がありましたらよろしくお願いします!」とコメントがされて、「良い」の評価だった。
 他の誰が読んでも、メッセージカードに携帯番号を記していたなんて、とても想像できないだろう。
 ひとまず、これにて取引は無事に終了した。
「これ、どうしよう」
 残されたメッセージカードに視線をやる。===============================================================
●切なさもありますが、ラストは幸せな未来が待っています!

 

美麗な表紙イラストを担当していただいたのは、イラストレーターの、lino(りの)様です。
可愛い女の子、百合イラストをメインで描いていらっしゃる方です。

 

lino様のツイッター
https://twitter.com/LilyParty07

 

作品制作依頼サイト・スキロッツのlino様のページ
https://www.skillots.com/design/search/engineers/23179

 


お買い上げ、お待ちしております! 読み放題の対象にもなっておりますので、ぜひ!

 

フリマアプリの取引相手が高校のときの初恋の人(同性)だった件。

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