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子供の頃に欲しかったもの。

今週のお題特別編「子供の頃に欲しかったもの」
〈春のブログキャンペーン 第3週〉

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わりと貧しい幼少時代だった。
父は仕事漬け、母はお金が無いと言っていつもイライラしていた。

 

自然、お金を貯めることが、私の趣味のようになっていった。
妹や弟と遊んで、小銭をせびる。
我ながら、恥ずかしい姉ぶりだった。

 

そうやってコツコツと貯めたお金を、何に使うかと言えば、欲しい物は特に無い。
貯めることそのものが、目的になっていた。

 

じいちゃんやばあちゃんがくれたお年玉。
使い道無く、通帳に記帳されていく残高。

 

子供の頃の自分に、今、問いかける。

 

「何が欲しかったの?」

 

――怒鳴り声の聞こえない、穏やかで静かな環境。

 

じっと我慢して、びくびくしながら過ごした日々。

 

今の私なら、こうアドバイスしてあげる。

 

「そこから出ていっていいんだ。外に出かけて、散歩でもしておけばいい」

「音楽プレイヤーがあれば良かったね。好きな音を聴いておけばいい」

 

殴られるようなことは無かったけれど、心に痛みを感じた子供の私。

 

欲しかったのは、我慢しなくていいんだよ、と教えてくれる信頼できる大人だったのかもしれない。

 

月日は流れた。
現在、私は母と仲良しだ。すっかり丸くなった母。いざとなれば、怒鳴り返せる強さを身につけた私。

 

母の好きな、桜が咲き誇る春。
ゆったりとこんな思考をつづる、2015年のとある夜のお話。